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板倉 木曽三岳の奥村設計所

木曽板倉の最大の特徴は屋根です。へぎ板葺きの屋根、石持ちと呼ばれる丸太を割った横材の上に重しの石が押さえます。積雪地帯にも係わらず勾配は3寸前後と緩く、さらに軒の出は1.2-1.5mを越します。優雅にさえ見える木曽地方独特の民家であり穀物倉庫です。この地域でもへぎ板葺きはさすがに少なく、開田高原で見た板倉の屋根は、ほとんどが鉄板でした。
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「板倉」を移築して作り直した、木曽三岳の奥村設計所にお邪魔しました。ここが奥村昭雄さん・まことさんの設計事務所です(東京事務所もあります)。芸大で教えていた時代、1972-90年まで学生と共に板倉の調査と実測を携わっており、綿密な図面とスケッチが沢山残されています。この板倉に隣り合って奥村さんの家具quiet furnitureの制作工場(可愛らしい工場で、こちらも板倉)とOMを利用した原木乾燥施設もあります。
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南面を見ます。板倉は2層です。2層目は蚕棚風の狭いベッドが数台あります。左手方流れの下屋は増築部分。
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その増築部分を見ます。食堂・厨房が増築されてます。斜めのガラス下部には、サランネットがはられ下から新鮮空気を取り入れています。
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設計室の様子です。「木製楽器をつくる会」の人達が工場見学にきていて10名!ぐらいが泊まっているそうです。
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板倉の移築については、奥村先生の著作「時が刻むかたち(樹木から集落まで)」に詳しいですが、古い倉といえど、設計作業ができるようかなり細かい改築作業をしています。柱間に入った下框だけついたガラスはスライド式の引き込み、網戸は二枚に折れて、更に蔀(しとみ)戸のように跳ね上げ式になってます。
伝統的な板倉を保存し、さらに改築して実用に利用。奥村さんらしい緻密で実証的な方法を用い、三岳の板倉を伝承しています。



僕の感想記よりはるかに詳しく、奥村さんの三岳が紹介されています。僕も見たことがない素敵なスケッチが一杯ですし、奥村設計所の板倉も図版入りで解説されてます。是非そちらもご覧下さい。特集「奥村昭雄のデジタルアーカイブ」
Commented by j-garden-hirasato at 2009-08-27 06:58
日本の伝統的な建築技術、
後世まで伝えてほしいですね。
こういう活動には、
共感します(気持ちだけですが)。
Commented by shinmemo0417 at 2009-08-27 11:03
いかなる地域の伝統的建物でも、理由があってそのような形態になってます。ところが全く異次元な何の関わりもないハウスメーカーの家が日本の田園を埋め尽くしています。少しは残せていけないのでしょうか...
by shinmemo0417 | 2009-08-27 00:39 | architecture | Trackback | Comments(2)

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by shinmemo0417
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